株式会社キザワ・アンド・カンパニー

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真のステークホルダー資本主義


ESG分野の株主提案が増加しつつあります。これは、2019年に米経営者団体ビジネス・ラウンドテーブルが、すべてのステークホールダー(利害関係者)にコミットするという宣言が行われて以来、米国型の株主至上主義からステークホルダー資本主義に急速に浸透しつつあることを示す現象といえます。

日本においては、特にGのガバナンス改革を訴える海外投資家の圧力が高まっています。東芝の経営陣に対する風当たりは大変厳しいものがあります。経営能力がないという批判さえ浴びています。日本の伝統的な組織の意思決定は、集団合意と言われています。これとは対称的に、強いリーダーが企業を引っ張る米国や中国とは全くことなる文化を多くの日本の大企業が有するという現実もあることを忘れてはいけないと思います。

東芝は、国防、エネルギーなど社会インフラ、半導体、量子技術など国家プロジェクトを推進しています。国家もまた重要なステークホルダーです。ステークホルダー資本主義を唱える投資家はこの事実を重く受け止める必要があります。米国大統領は、国家的利益を守るために、ジョンソン・アンド・ジョンソンへのファイザー製ワクチン生産協力、インテルへの半導体工場の米国内建設、中国製品の排除など主導しました。

国家と企業の関係、文化と企業経営について企業経営者も投資家も双方が理解と対話を深めなければ、真のステークホルダー資本主義への転換はできないと思います。技術立国に貢献することをモチベーションに働いている東芝の社員の気持ちを想像できる力も、投資家には求められています。なぜなら、組織で働く人々が、価値を生み出すからです。

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