世界の多くの企業が、ビジネスエコシステムの構築によるイノベーションを追求し始めているにも関わらず、日本の企業は、自前の製品開発によるイノベーションを追求している。
ビジネスエコシステム(business ecosystem)とは、企業や顧客をはじめとする多数の要素が集結し、分業と協業による共存共栄の関係を指す。そして、ある要素が直接他の要素の影響を受けるだけではなく、他の要素の間の相互作用からも影響を受ける。
我が国の大手企業の多くが業種を問わず、デジタル革命、グリーン革命をイノベーションの機会ととらえている。また彼らは、知識を獲得するためにヘッドハンティング、買収、単線(1 対 1)のパートナーシップ(ライセンシング、戦略的提携)、国内の大学・研究機関との連携を進めている。しかし、こうした企業行動には、独占的に外部にある知識を取り込もうとするパラダイムが潜んでいる。
科学技術に関する知識は樹状型でアーカイブされる。一方、知の探索活動は、蜘蛛の巣型のパラダイムを志向する。なぜならば、科学技術に関する知識は、多様性と開放性のある環境の中で進化するものである。現在主流となっている知識のアーカイブ方法は、多様性と開放性と本質的に矛盾をきたすことになる。
したがって、知の多様性と開放性を損なわずに、必要な知識を、必要な期間、適時獲得するという新しい知のパラダイムが求められている。具体的には、独立事業者(フリーランス) への業務委託、クラウドソーシング、海外の大学・研究機関または異業種間の共同研究を進めることである。
知識の目的は、社会の役に立つことである。知識には、領域と基本原理の2つ要素から成立する。人類は有史以来、知識を創造し蓄えてきた。デジタル社会の到来で、データと情報は爆発的に増加したが、混沌状態である。つまり有用な知識として構造化されていない。
知の探索を進めるためには、知識を構造化する。さらに、構造化された知識から知恵を創出し、イノベーションにつなげる行動が求められている。
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