株式会社キザワ・アンド・カンパニー

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What if 質問の底力


イノベーションの出発点は、私たちのパラダイム(物事を見る思考の枠組み)に疑問を投げかけることである。ジョエル・バーカーやピーター・F・ドラッカーなど多くの識者がこの重要性について指摘してきたことだ。

アレキサンダー・オスターワルダーらの著書「Business Model Generation」ではWhat if (もし・・・だったら)質問の好例を紹介している。

もし家具を買う人が広大な倉庫にある梱包ケースに収納された部品を取り出し、自分の家でそれらを組み立てるとしたら、どうだろうか?
今日では当り前のこととなっているが、IKEAが1960年代にこうしたコンセプトを導入するまで考えもつかなかった。
もし航空機のエンジンを購入しない航空会社があるとしたら、どうだろうか?
実はエンジンの稼働時間に応じておカネが支払われている。かつておカネを垂れ流す英国の製造会社だったRolls-Royceが、今日、世界第2位のジェットエンジンサプライヤーに自己変革できたのは、このWhat if質問がスタート地点になっている。
もし国際電話を無料にしたら、どうだろうか?
2003年、Skypeはインターネット経由の音声通話サービスを無料で提供するサービスを導入した。その5年後、Skypeは1,000億回の無料電話をする4億人の登録ユーザーを獲得した。
もし自動車メーカーがクルマを販売せず、移動サービスを提供したら、どうだろうか?
2008年、DaimlerはCar2goというサービスをドイツのウルム市で商業化テストを行った。ちなみにCar2goの乗用車のユーザーは、その都市の範囲内であれば、どこでもピックアップし乗り捨てることができる。ユーザーは移動サービスに対して分単位で料金を支払う。
もし銀行からおカネを借りないで個人どうしでおカネを貸し借りするとしたら、どうだろうか?
2005年、イギリスに本拠をもつZopaはP2Pのインターネット上の融資プラットフォームを市場投入した。
もしバングラディシュのすべて村人が電話にアクセスするとしたら、どうだろうか?
これはGrameenphoneがマイクロファイナンス機関であるGrameen Bankとパートナーシップをもとに実行し始めたことだ。当時、バングラディシュは依然として世界の中で最低の通信密度だった。今日、Grameenphoneはバングラディシュ最大の納税者である。

オスターワルダーらによれば、私たちが、しばしば革新的なビジネスモデルを概念化する際に大きな困難に直面するのは、私たちの思考が現在の状況によって引き戻されてしまうからであると指摘する。現在の状況は私たちの想像力を抑え込んでしまう。この問題を克服するひとつの方法は、当たり前の仮定にWhat if(もし~だったら?)という質問をぶつけてみることである。

ビジネスモデルの素材が適切であれば、私たちが不可能だと考えることがすぐにでも実行可能なものになるかもしれない。What if質問は、私たちを現在のビジネスモデルによって押し付けられている制約条件から解き放ってくれる。

What if質問は私たちを刺激し私たちの思考に挑戦するものでなければならない。またWhat if質問は、興味をかきたてるが実行が難しい前提条件のように私たちの心をかき乱すものでなければならない。

AIなど破壊的なテクノロジーが急速にかつグローバルに広がり、低コストで利用できる世の中になっている。革新的なビジネスモデルを生成するための一番の近道は、バカバカしいと思われがちなWhat if 質問を臆さず、小学生になった感覚で、できるだけ多く投じることかもしれない。

ママ、もし・・・だったら、どうかな?
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