株式会社キザワ・アンド・カンパニー

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AI時代を生き抜くために必要な「二つの信頼」


~ハラリ教授の講演から考える、人類と地球の未来~

最近視聴したハラリ教授の講演は、非常に示唆に富んでいました。特に印象に残ったのは「人類間の信頼」と「生物圏との信頼」という二つの柱が、これからの人類の生存に不可欠だという指摘です。ここでは、その考えをもとに、AI時代にどう生きるべきかを考えてみます。

1 人類間の信頼が揺らぐとき

人類の歴史は「共有された物語」によって大規模な協力を可能にし、繁栄を築いてきました。ところが今、AIの急速な進化に伴い、私たちは大きなパラドックスに直面しています。

  • 相互不信が生む開発競争
    AIのリスクを誰もが認識しながらも、「他国や他企業がやるなら、自分たちも遅れられない」と不信感が競争を加速させています。
  • 人間不信とAI信仰の矛盾
    皮肉なことに、何千年も共に歩んできた人間同士を信じられない一方で、目的も分からないAIには信頼を置いてしまうという逆説が広がっています。

このままでは社会は分断され、不信が深まる一方です。だからこそ、透明性を高め、AIによる偽情報を防ぐルールや、学際的な研究の仕組みが不可欠になっています。

2 生物圏との信頼を忘れない

AIの話題に目を奪われがちですが、ハラリ教授は「人間は外部の環境を信じなければ1分も生きられない」と語りました。呼吸ひとつとっても、私たちは空気が無害であると信じているからこそ可能なのです。

AIがどれほど進化しても、私たちには体があり、食べ物や水、空気が必要です。つまり生存は常に「地球環境」に依存しています。環境を壊す行為は、信頼の基盤を崩すことであり、最終的には自らの死につながるという厳しい現実を忘れてはいけません。

3 信頼をどう取り戻すか

結論として、人類に必要なのは「二つの信頼の再構築」です。

① 人類間の信頼:協力と合意形成を取り戻すこと

② 生物圏との信頼:地球環境を健全に保つこと

この二つは切り離せない、生存戦略の両輪です。人間には自己修正の力も、協力の力もあります。学術界、政府、企業、市民それぞれが「重みを共有している」という認識を持ち、一歩ずつ信頼を積み直すことが、AIを安全に活かし、持続可能な未来をつくる唯一の道なのです。

 今後の社会やビジネスを考えるうえで、私たちは「AI技術」だけでなく、「人と人の信頼」「自然への信頼」をどう築くかを問い直す必要があるのだと思います。

2025年3月16日、慶応大学で開催されたX Dignity Centerでのユヴァル・ノア・ハラリ氏と伊藤学長と対談をNotebookLMを用いて作成したものです。

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