株式会社キザワ・アンド・カンパニー

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G20専門家委員会が警告:「不平等は緊急事態」— 世界を分断する富の偏在と解決策


G20南アフリカ議長国によって招集された独立専門家委員会(ジョセフ・E・スティグリッツ氏ら主導)が、世界的な不平等の現状と対応策に関する報告書を公表しました。

報告書は、不平等が経済、社会、政治、環境における多くの問題を引き起こす「緊急の懸念事項」であると強調しています。そして、最も重要なメッセージは、「不平等は政策の選択の結果であり、対処は可能である」という点です。深刻な不平等の現状不平等の規模は深刻です。

世界人口の90%を占める国々の83%が高所得不平等(ジニ係数0.4以上)に分類されており、世界全体のジニ係数は0.61と非常に高い水準にあります。富の集中はさらに極端で、2000年から2024年の間に発生した新規富の41%を最も裕福な1%が獲得しました。一方、人類の下位半数(50%)が手にしたのはわずか1%に過ぎません。現在、世界の3,000人を超える億万長者の富は、世界のGDPの16%に相当しています。

この富の不平等は、所得の不平等よりもはるかに高い水準です。この極端な富の集中と並行して、世界人口の4分の1にあたる23億人が中程度または重度の食料不安に直面しており、これは2019年以降3億3500万人増加しています。多面的な悪影響不平等の極端なレベルは、様々な悪影響をもたらし、負の連鎖を悪化させます。

1. 民主主義と政治の腐食: 不平等は、制度への信頼を損ない、社会的な結束を崩壊させます。不平等の激しい国は、より平等な国よりも民主主義の侵食を経験する可能性が7倍高いという経験的証拠があります。

2. 経済活動と貧困削減の阻害: 所得の低い層が適切な教育や医療を受けられない結果、生産性が低下し、経済全体のパフォーマンスが悪化します。また、不平等は総需要を低下させます。

3. 気候変動への対応力の低下: 超富裕層の消費や投資パターンが生み出す過剰な炭素排出は気候変動に寄与しており、不平等が環境問題への対処能力を損なっています。

根底にある要因と解決策不平等の主な要因は、過去数十年にわたって採用されてきた政策選択にあります。市場所得の分配を悪化させたネオリベラル政策(金融市場の自由化、労働組合の弱体化、逆進的な税制への依存増加など)が、不平等を急増させました。また、富の不平等には強力な「勢い」があり、ほとんど非課税のまま世代を超えて受け継がれる相続によって強化されています。2023年には、起業家精神ではなく、相続を通じて新たに億万長者になった人が初めて多数を占めました。この負の傾向を逆転させるためには、国際的な協調と政策の変更が不可欠です。

報告書は、政策決定を支援し、不平等の傾向や要因に関する信頼できる評価を行うための新たな常設機関として、「国際不平等パネル(IPI)」の設立をG20に最優先で提言しています。これは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に触発された提案です。

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