株式会社キザワ・アンド・カンパニー

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シナリオプラニングで大海原に出でよ


シナリオプランニングとは,10年~20年先の未来を見据えながら,我々を取り巻く環境の中で,確実に起こり得ることは何か,不確実なことは何かを考え,我々が受け入れなければならない重要な変化は何であり、我々が積極的に創り出さなければならない変化が何かを明確に認識することである。そして、将来起こる問題が何か、それを回避するにはどうすべきか、起こり得る変化を生かして、どのようにビジネスチャンスに変えていくか。こうした問に答えを見つけながら、10年~20年に渡る戦略ストーリーとそれを具体化するための長期計画を策定することが求められている。

15世紀中から17世紀中にかけて大航海時代と言われている。1492年、クリストファー・コロンブスがスペイン政府の支援をえて、サンタ・マリア号にのって、西インド諸島に属するバハマに漂着、その後アメリカ大陸を発見した。それから6年後の1498年、ポルトガル政府の支援を受けたヴァスコ・ダ・ガマは、アフリカ大陸南端の喜望峰を回るインド航路を開拓し、インドのカルカッタに漂着し、それまでイスラム文明が支配していた海洋貿易に楔を打った。

このように、新大陸を発見するために,国家の威信をかけて,生死をかけた大冒険が実行された。莫大なお金をかけて船を造った。1502年に画かれたカンティーノの平面天球図は、北米大陸、太平洋がすっぽり抜けていた。こうした不完全な海図をもとに、冒険家は、航海ルートを定め,羅針盤をもって,多くの船が大海原に出航した。

大航海時代は,香辛料、金銀など一攫千金を狙うという野心や壮大なロマンに満ち溢れていた一方,途中で難破したり,漂着しても原住民に殺されたり,風土病にかかったりして,生還できるものはごくわずかであった。

大事をなすためには、大きな不確実性に対処しなければならないという意味では、いにしえの大航海の時代と現代の企業経営との間に大きな違いはないということもできる。違いがあるとすれば,人間の生命にかかわるかどうかという点だけかもしれない。

大航海時代の羅針盤を「経営理念」,海図を「現在から未来に向けた事業環境認識」,そして、船を進める道筋,すなわち航海ルートが「戦略ストーリー」になぞらえることができる。ところで、我々は、現および今後の事業環境をどう認識すればいいのだろうか。

現在、第四次産業革命に突入しつつあると言われてている。今後、10年~20年先までの未来を考えたとき、事業環境における不確実性はいっそう大きくなることは間違いない。

ちなみに、第一次産業革命では,水や蒸気を動力源にして機械を動かす生産が可能になった。第二次産業革命では電気を動力源として、分業の仕組みを取り入れがら、機械を動かす大量生産(マスプロダクション)が可能となった。そして第三次産業革命ではコンピュータ制御によって生産工程の自動化が可能になった。それでは、第四次産業革命で,製造現場で何が可能になるのか。4つあると言われている。

第1に,モノのインターネット化(IoT)により,設備が人と協調して動くサイバーフィジカルシステム
第2に拡張現実を活用したオペレーター作業支援
第3にビッグデータやクラウドコンピューティングを活用した品質追跡管理と工程改善
第4に消費者に合わせた一品一様の商品づくりであるマスカスタマイゼーション

ところで、スペースXのCEO イーロン・マスク氏が率いるTesla Motorsの生産台数は,まだGMの1%も満たないにも拘わらず,Teslaの株価がGMの株式時価総額550億ドルを上回り、自動車メーカーで米国一になったことが最近,大きなニュースになった。マスク氏自ら現場をうろついて細かく改善を指導している。部品開発も自らが手掛ける一方,汎用部品は,たとえそれが安全保安部品であってもコスト低減のためには,簡単に供給先を変える。中国の大手ネットサービス企業テンセントが約2,000億円を出資した。中国におけるEV市場の将来性を高く評価している。マスク氏が,「製造工場こそが私たちの一番の製品」と語っていたのがとても印象的である。

IoT,人工知能,ロボティクス,ブロックチェーンなど技術革新が急速に進み,市場経済のグローバル化によって,企業活動の地理的範囲も急速に広がりつつある。そのため,私たちを取り囲む事業環境は,短期間に大きく変動すると同時に,先が見えない不確実性が高まりつつある。

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