株式会社キザワ・アンド・カンパニー

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広東・香港に巨大経済圏「グレーターベイエリア」が誕生


広東省広州市と香港を結ぶ高速鉄道(所要時間48分)が9月23日に全線開通する。香港とマカオの海上橋もほぼ完成している。産業集積を促して東京やニューヨークに匹敵する都市圏をつくる狙いがある。域内人口は約6,900万人と中国の5%に過ぎないが、GDPの12%を占める。スタートアップ企業が集積する深圳、金融センターの香港、自動車産業中心の広州、パソコン部品を製造する東莞など有力都市を抱える。2025年までに、域内GDPは310兆円(インドと同規模)、個人消費額は倍増すると予想される。香港とマカオは一国ニ制度を採用しているため、経済圏として一体化と同制度との関係が複雑となる。(日経20180913より)

数億人の顔を学習するAI


香港発の人工知能(AI)スタートアップ「センスタイム」は、街頭カメラの動画1秒を24~30枚に分割し、人海戦術で意味をAIに教え込んでいく。現在、数億単位の顔データを収集している。100以上の車や人を同時識別できる。状況が複雑な市街地でも3~5秒先まで予測できる。また、カメラなどに映った人物を特定する顔認証技術は、買い物での本人確認や防犯など様々な分野で利用が広がる。監視カメラの世界市場規模は2018年に15年の倍以上に膨らむ。「センスタイム」は、人の美しさを人工知能で点数化するソフトも開発。美女か美男子かという判断について数百万人のデータを読み取り、測定基準を、顔の輪郭や目や鼻の大きさや配置など100以上の点を測定分析して、100点満点で算出することができる(日経2018年7月19日より)。

人の信用を格付けするAI


アリババ集団の「芝麻(ゴマ)信用」は、個人情報の公開、交友関係、返済能力、信用力、行動特性の5つの視点で信用度を350点(最低)から950点(最高)で格付けするAIを運用している。高スコアだと低金利で多額のお金を借りられるほか、レンタカーやホテル宿泊で保証金が不要になる(日経2018年7月18日より)。

グローバル化の第三の波


ジュネーブ国際高等問題研究所教授のボールドウィン氏は、グローバル化は第三の波が始まっていると洞察する。グローバル化の本質は、価格差異を利用して稼ぐ裁定取引。第一はモノ、第二は技術・ノウハウ、第三は労働サービスの裁定取引である。労働―サービスの代表的な形態として、世界のフリーランス労働者がネットをつうじて求人、面接、採用、賃金支払いを完結する。経験や知識をつうじて働く医師、弁護士、学者などの高学歴・高所得の仕事にも影響する。たとえばケニアの医者が英国の患者に医療相談サービスを低料金で提供するといったケースである。自動翻訳の発達で言葉の問題は急速に解決されつつあり、また、国際サービス労働者を仲介するプラットフォームが続々と生まれてきており、今後、大きなトレンドになると思われる(日経2018年6月5日)。

暗黙知をIoTで形式知へ


滋賀県草津市のダイキン工業志賀製作所の研修所「道場」は、日立製作所の支援を得て、IoTで匠の技術をデジタル化(形式知化)する仕組みを導入した。その結果、溶接技術の修得にかかる期間を半分にすると同時に、コツ、勘に大きく依存する職人技術をほぼ完全な標準化を可能にした。芸術やスポーツの分野でも、データが匠の技を再現できるになってきている。例えば、AIがシュールな印象派の画家が描いたとしか思えない絵を描かせることができる。しかし、本質は、あくまで巨匠の絵画のデータをまねてイメージを伝えているだけで、「絵画そのもの」を想像しているわけではない。体操フォームを分析するAIもあるが、難易度の高い新しい技を考えるわけではない。データやデータをもとに動く機械があらゆる分野で人間を教育するようになる。だからこそ、データにはできない人間ならではの世界に注意を向ける必要がある。芸術や武道の修行の道を三段階で示す「守破離」という言葉がある。師匠を教えを守り身に付ける「守」、身に付けたものを発展させる「破」、新しいものを生み出す「離」。データでは「守」までしかできない。破、離に至るには「感性や創造性」がかかせない。今後、データが教育を担う時代になっても、感覚を研ぎ澄まして新しい世界をつくる役割は人間のものであり続けてほしい(日経2018年5月18日より)

シンギュラリティ-の発見


読売新聞に、2018年5月4日号にクラウス・シュワブ氏(世界経済フォーラム会長)とのインタビュー記事が掲載されていた。人類の歴史の画期を4つの産業革命としてシュワブ氏は説いている。すなわち、①第一次産業革命:15C中~16C中「地球は宇宙の中心ではない」ことを発見(ダビンチ、ミケランジェロ、コペルニクス、ガリレイ)②第二次産業革命:19C 「人間は科学的進化の一部である」ことを発見(ダーウィン)、③第三次産業革命:19C中~20C前半、「我々の意思決定が意識的ではなく、無意識に大きく影響されつつある」ことを発見(フロイト、④第四次産業革命:21C 「コンピュータのほうが人類よりも優れたアルゴリズムを作ることができる」(シンギュラリティ―)ことを発見(AIなどIT技術)である。シュワブ氏は、現在、人類が取り組むべき2つの問題があると説く。第一に、冷戦後、自由や民主主義、人権という共通の価値にしたがって世界が協力可能であることを信じたが、「概念」を異にする強国がまた台頭しつつある。共通利害は共有できるが共通価値がない。第二に、人類が、第四次産業革命に我々がどう習熟するか。変化を恐れ習熟できない人々は、今のところナショナリズム、ポピュリズムなど過去の問題解決にすがろうとしている。

 

IoT、AIによる技能伝承


日経新聞(「ポスト平成の未来学」(日経2018年5月18日))に、技能伝承の将来をイメージするうえで参考となる記事を読んだ。要約はつぎのとおりである。

滋賀県草津市のダイキン工業志賀製作所の研修所「道場」は、日立製作所の支援を得て、IoTで匠の技術をデジタル化(形式知化)する仕組みを導入した。その結果、溶接技術の修得にかかる期間を半分にすると同時に、コツ、勘に大きく依存する職人技術をほぼ完全な標準化を可能にした。芸術やスポーツの分野でも、データが匠の技を再現できるになってきている。例えば、AIがシュールな印象派の画家が描いたとしか思えない絵を描かせることができる。しかし、本質は、あくまで巨匠の絵画のデータをまねてイメージを伝えているだけで、「絵画そのもの」を想像しているわけではない。体操フォームを分析するAIもあるが、難易度の高い新しい技を考えるわけではない。データやデータをもとに動く機械があらゆる分野で人間を教育するようになる。だからこそ、データにはできない人間ならではの世界に注意を向ける必要がある。芸術や武道の修行の道を三段階で示す「守破離」という言葉がある。師匠を教えを守り身に付ける「守」、身に付けたものを発展させる「破」、新しいものを生み出す「離」。データでは「守」までしかできない。破、離に至るには「感性や創造性」がかかせない。今後、データが教育を担う時代になっても、感覚を研ぎ澄まして新しい世界をつくる役割は人間のものであり続けてほしい。

 

AIは人を幸せにするか


クラウス・シュワブ氏(世界経済フォーラム会長)は、人類の歴史の画期を4つの産業革命として説いている。
第一次産業革命:15C中~16C中 ダビンチ、ミケランジェロ、コペルニクス、ガリレイ
「地球は宇宙の中心ではない」
第二次産業革命:19C ダーウィン
「人間は科学的進化の一部である」
第三次産業革命:19C中~20C前半、フロイト
「我々の意思決定が意識的ではなく、無意識に大きく影響されつつある」
第四次産業革命:21C AIなどIT技術
「コンピュータのほうが人類よりも優れたアルゴリズムを作ることができる」
シュワブ氏は、現在、人類が取り組むべき2つの問題があると説く。

第一に、冷戦後、自由や民主主義、人権という共通の価値にしたがって世界が協力可能であることを信じたが、「概念」を異にする強国がまた台頭しつつある。共通利害は共有できるが共通価値がない。
第二に、人類が、第四次産業革命に我々がどう習熟するか。変化を恐れ習熟できない人々は、今のところナショナリズム、ポピュリズムなど過去の問題解決にすがろうとしている。
(読売2018年5月4日より)

女性社員のためのキャリアプラニングの必要性 


ここ数年来、「女性が輝く社会」の実現に向けて、女性管理職の育成、女性の活躍推進のための様々な対策や制度が導入されているが、第1子出産で約6割の女性が離職する(「男女共同参画白書平成28年版」)など、なかなか前に進まないようである。

有職女性の約9割が非管理職志向であるため、女性の管理職比率は11.3%と世界的に見ても非常に低く、会社に入れば上司は男性が圧倒的多数を占めているのが現実である。また、内閣府の世論調査では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方に、男性の46.5%、女性の43.2%が「賛成」と答えている。このように男女の社会的役割に関する伝統的な価値観が支配的であるため、働く女性の多くが「相談してもなかなか理解してもらえない」というように社会で活躍すること自体をあきらめてしまっている。

図表は、企業と女性社員との女性社員のキャリアに関する認識ギャップを示している。企業経営者の多くは、女性が活躍できる環境を整えたいと考えている一方、女性社員の多くは、社会環境や職場環境に問題と困難さを感じている。

 

図表 女性社員のキャリアに関する認識ギャップ

こうした認識ギャップがなかなか埋まらない理由として2つ挙げることができる。一つ目は多くの女性社員が「男性の上司に相談しても、わかってもらえない」という固定観念を根強く持っているため、なかなか本音を話すことができないことである。二つ目は半数の男性が「妻は家庭を守るべきである」とする固定観念を持っているため、子育てや介護などで職業人生を中断することはやむを得ないと考えていることである。その結果、女性社員の多くが、自分自身の長い職業人生について前向きな将来イメージを描くことができないのである。

本人が「職業人生に対する前向きな将来イメージ」を持ち、職場内に「昇進を支援してくれる人」がいると、自己の能力やスキルへの自信が持てるようになるため、仕事にやりがいを持って取り組むことができるようになり、管理職への志向性が高まることが、多くのキャリアプラニングに関する研究で実証されている。

したがって、企業経営者が、「女性にとって働きやすい職場はすべての人にとっても働きやすい環境である」という信念を持ち、積極的に女性活躍の環境づくり推進する必要がある。具体的には、女性社員にワークライフバランスを重視したキャリアビジョンを描く機会を設けると同時に、職場におけるサポート体制を構築することが求められている。

株式会社 キザワ・アンド・カンパニー

専務取締役 鬼澤 佳乃子

国家資格キャリアコンサルタント

ファイナンシャル・プラニング技能士

以上

 

シナリオプラニングで大海原に出でよ


シナリオプランニングとは,10年~20年先の未来を見据えながら,我々を取り巻く環境の中で,確実に起こり得ることは何か,不確実なことは何かを考え,我々が受け入れなければならない重要な変化は何であり、我々が積極的に創り出さなければならない変化が何かを明確に認識することである。そして、将来起こる問題が何か、それを回避するにはどうすべきか、起こり得る変化を生かして、どのようにビジネスチャンスに変えていくか。こうした問に答えを見つけながら、10年~20年に渡る戦略ストーリーとそれを具体化するための長期計画を策定することが求められている。

15世紀中から17世紀中にかけて大航海時代と言われている。1492年、クリストファー・コロンブスがスペイン政府の支援をえて、サンタ・マリア号にのって、西インド諸島に属するバハマに漂着、その後アメリカ大陸を発見した。それから6年後の1498年、ポルトガル政府の支援を受けたヴァスコ・ダ・ガマは、アフリカ大陸南端の喜望峰を回るインド航路を開拓し、インドのカルカッタに漂着し、それまでイスラム文明が支配していた海洋貿易に楔を打った。

このように、新大陸を発見するために,国家の威信をかけて,生死をかけた大冒険が実行された。莫大なお金をかけて船を造った。1502年に画かれたカンティーノの平面天球図は、北米大陸、太平洋がすっぽり抜けていた。こうした不完全な海図をもとに、冒険家は、航海ルートを定め,羅針盤をもって,多くの船が大海原に出航した。

大航海時代は,香辛料、金銀など一攫千金を狙うという野心や壮大なロマンに満ち溢れていた一方,途中で難破したり,漂着しても原住民に殺されたり,風土病にかかったりして,生還できるものはごくわずかであった。

大事をなすためには、大きな不確実性に対処しなければならないという意味では、いにしえの大航海の時代と現代の企業経営との間に大きな違いはないということもできる。違いがあるとすれば,人間の生命にかかわるかどうかという点だけかもしれない。

大航海時代の羅針盤を「経営理念」,海図を「現在から未来に向けた事業環境認識」,そして、船を進める道筋,すなわち航海ルートが「戦略ストーリー」になぞらえることができる。ところで、我々は、現および今後の事業環境をどう認識すればいいのだろうか。

現在、第四次産業革命に突入しつつあると言われてている。今後、10年~20年先までの未来を考えたとき、事業環境における不確実性はいっそう大きくなることは間違いない。

ちなみに、第一次産業革命では,水や蒸気を動力源にして機械を動かす生産が可能になった。第二次産業革命では電気を動力源として、分業の仕組みを取り入れがら、機械を動かす大量生産(マスプロダクション)が可能となった。そして第三次産業革命ではコンピュータ制御によって生産工程の自動化が可能になった。それでは、第四次産業革命で,製造現場で何が可能になるのか。4つあると言われている。

第1に,モノのインターネット化(IoT)により,設備が人と協調して動くサイバーフィジカルシステム
第2に拡張現実を活用したオペレーター作業支援
第3にビッグデータやクラウドコンピューティングを活用した品質追跡管理と工程改善
第4に消費者に合わせた一品一様の商品づくりであるマスカスタマイゼーション

ところで、スペースXのCEO イーロン・マスク氏が率いるTesla Motorsの生産台数は,まだGMの1%も満たないにも拘わらず,Teslaの株価がGMの株式時価総額550億ドルを上回り、自動車メーカーで米国一になったことが最近,大きなニュースになった。マスク氏自ら現場をうろついて細かく改善を指導している。部品開発も自らが手掛ける一方,汎用部品は,たとえそれが安全保安部品であってもコスト低減のためには,簡単に供給先を変える。中国の大手ネットサービス企業テンセントが約2,000億円を出資した。中国におけるEV市場の将来性を高く評価している。マスク氏が,「製造工場こそが私たちの一番の製品」と語っていたのがとても印象的である。

IoT,人工知能,ロボティクス,ブロックチェーンなど技術革新が急速に進み,市場経済のグローバル化によって,企業活動の地理的範囲も急速に広がりつつある。そのため,私たちを取り囲む事業環境は,短期間に大きく変動すると同時に,先が見えない不確実性が高まりつつある。

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