今日,多くの市場で,多様化,個別化が進んでいる。それを大量にすばやく市場に投入し,かつ投資リスクおよびコストを低減するには,受注してから顧客の仕様に応じて組み立て出荷するまでのリードタイムを短くすると同時に,多様な部材を効率的に集められるだけの調達網を持つ必要がある。そのためには,ICT技術を導入し,リアルタイムで受注生産動向を協力会社と共有すると同時に見込み生産(プッシュ)から受注生産(プル)へと切り替える必要がある。パソコン,ストレージメーカーのDELLの事業が典型である。
業界平均よりも損益分岐点比率が低い会社(点線)は,景気の変動で数量が減って同業他社(実線)が赤字に陥っても黒字を確保できる余地が多い。利益率の差は,時間の経過とともに景気循環の波をくぐりながら,資本蓄積の差を拡大させる。習熟は一朝一夕に起こるのではないので,日々起こる問題に早く着手し,継続的に改善することによって固定費を下げることのほうが,景気の変動に合わせて,早く人員整理を行ったり,工場を閉鎖したりと生産調整を図るよりも重要な場合が多い。
累積生産量が2倍になると、単位当たりコストが20%~30%下がることが知られている。量産当初は、コストが極めて高いが、製品やサービスの累積生産量が増大するにつれ、製品・サービスの改良や改善が進み、累積されコストが減衰していく。この経験曲線のカーブを、他者よりも早く下ることが収益性を高めるポイントである。
2業界での市場シェアが高くなればなるほど,価格設定,顧客選択のうえで有利に働くため,収益性が高まる。大量生産・大量販売が当たり前の時代には,この利益モデルは有効に働いていたが,個性化,多様化する市場では,陳腐化しつつある。
新製品は,S字型の成長軌道をたどることが知られている。S字を波に例えると,波の中腹付近で利益額(利益率×売上高)が最大になる。利益はちょうどパラボラアンテナを床に伏せたような軌跡を描く。理想的には,利益額が最大のところで事業を競合他社に売却し,つぎの事業に乗り換えることが賢明である。波のトップ(波頭)を追いかけ続けると,それまで稼いだ利益を食いつぶすことになりかねない。ソーラーパネル製造,液晶事業などが典型である。
販売後利益モデルでは,利益を得るのが製品メーカーに限らない。製品を補完する付属製品またはサービスの市場が形成され,製品ほど脚光を浴びることはないが収益性の高い。
景気循環によって需給ギャップが生じる。景気循環に連動させて他社よりも早めに価格調整できるか,または,また他社よりも早めに生産調整できる企業の相対的な利益率は高い。利益率の差がわずかでも,時間が経過するにつれて,ストックとしての株主資本の格差は,他社を圧倒するほど大きくなる。業界全体の生産キャパシティおよび製品需要の動向に関する知識の蓄積および分析力で競合他社を凌駕する必要がある。
複数の企業または業界の価値連鎖がつながって一つの供給連鎖を形成する。付加価値の高い製品またはサービスを提供する企業または業界は,相対的に利益率が高い。自社の価値連鎖の川上,川下の支配力を高めるため,収益の一部を再投資に他よりも多く回すことで,規模の経済性が高まり,供給連鎖の付加価値の取り分をさらに高める。
取引1単位当たりの規模にかかわらず,ある一定の固定費が発生する場合,取引の規模が大きくなればなるほど収益性は高まる。これを規模の経済性という。取引1単位当たりの規模が大きい大口の顧客との信頼にもとづく密接な関係を築き,維持することにより高い収益性の持続力を高めることができる。広告会社や投資銀行は,取引規模利益モデルを活用して持続的な高収益を得ている。
一定の地域に集中して店を出して,その地域の同業他社を駆逐する。特定地域に集中することで配送コストやマネジメントコストも軽減され,また販促や宣伝費用も抑えることができる。集中出店により他社の新規出店の余地をなくすことで,地域独占を生み出し,高収益を生み出すことができる。
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