コカ・コーラで例えると,製品は1つだが,食料品店,レストラン,自動販売機,というように複数のコンポーネントを持っている。利益の大半はレストランと自販機からもたらされている。顧客は購買機会に応じて異なる購買行動を示す。つまり,非常に幅のある価格感応性を示すので,同じ製品でも購買機会に応じて利益を上げられるところが変わる。
ピラミッドの一番下には,他社の参入を防ぐために,多額の広告と販促を行って利益が見込めないほどの低価格で製品を供給し,圧倒的な市場シェアをとる。この一番下の製品がファイアーウォールとなる。低価格帯にいる顧客の中には,所得が向上すれば,より高い価格帯の製品を求めるものも出てくる。所得が上がれば,顧客数は少なくなるが,価格感応度が低くなる。稼ぎどころは,ピラミッドの上の段に位置づけられる高価格帯製品となる。顧客にピラミッドの階段をいかにスムーズに上らせるかがポイントである。
この利益モデルのポイントは,時間とエネルギーを注いで,顧客に固有の情報をすべて知りつくすこと。そして,その知識を顧客固有のソリューションの開発に活かすことである。カスタマイズの水準が高い製品またはサービスほど,切り替えるコスト(スイッチングコスト)は高くなる。顧客は,その製品またはサービスを長期間にわたって継続的に利用するので,メンテナンス費用として課金することができる。開発および導入時には,費用が多く発生し赤字となるが,長期的には安定的でかつ多額のキャッシュフローを得ることができる。
経営学者エイドリアン・スライウォツキーは,収益性を生み出すパターンを「利益モデル」と呼び,好業績を実現している企業の事例研究をつうじて,下の図表に示す番号1から23の利益モデルバリエーションに整理した。これに,当社が事例研究またはコンサルティング活動をつうじて新たに認識された5つの利益モデルを追加し28の利益モデルとしている。通常,収益性の高い企業または事業には,一つの利益モデルのパターンではなく,複数の利益モデルが組み込まれている。
物理学者デビッド・ボーム博士は、組織行動学に多大な影響を与えたとする著書「On Dialogue」の中で、コミュニケーションを阻害する「思考のワナ」を17挙げています。コミュニケーションがうまくいかない背景を考えるうえで、貴重なヒントになると思います。
「On Dialogue」デビッド・ボーム著より引用
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