株式会社キザワ・アンド・カンパニー

株式会社キザワアンドカンパニー

♯21 経験曲線利益モデル


累積生産量が2倍になると、単位当たりコストが20%~30%下がることが知られている。量産当初は、コストが極めて高いが、製品やサービスの累積生産量が増大するにつれ、製品・サービスの改良や改善が進み、累積されコストが減衰していく。この経験曲線のカーブを、他者よりも早く下ることが収益性を高めるポイントである。

♯20 相対的市場シェア利益モデル


2業界での市場シェアが高くなればなるほど,価格設定,顧客選択のうえで有利に働くため,収益性が高まる。大量生産・大量販売が当たり前の時代には,この利益モデルは有効に働いていたが,個性化,多様化する市場では,陳腐化しつつある。

♯19 新製品利益モデル


新製品は,S字型の成長軌道をたどることが知られている。S字を波に例えると,波の中腹付近で利益額(利益率×売上高)が最大になる。利益はちょうどパラボラアンテナを床に伏せたような軌跡を描く。理想的には,利益額が最大のところで事業を競合他社に売却し,つぎの事業に乗り換えることが賢明である。波のトップ(波頭)を追いかけ続けると,それまで稼いだ利益を食いつぶすことになりかねない。ソーラーパネル製造,液晶事業などが典型である。

 

 

♯18 販売後利益モデル


販売後利益モデルでは,利益を得るのが製品メーカーに限らない。製品を補完する付属製品またはサービスの市場が形成され,製品ほど脚光を浴びることはないが収益性の高い。

♯17 景気循環利益モデル


景気循環によって需給ギャップが生じる。景気循環に連動させて他社よりも早めに価格調整できるか,または,また他社よりも早めに生産調整できる企業の相対的な利益率は高い。利益率の差がわずかでも,時間が経過するにつれて,ストックとしての株主資本の格差は,他社を圧倒するほど大きくなる。業界全体の生産キャパシティおよび製品需要の動向に関する知識の蓄積および分析力で競合他社を凌駕する必要がある。

♯16 価値連鎖ポジション利益モデル


複数の企業または業界の価値連鎖がつながって一つの供給連鎖を形成する。付加価値の高い製品またはサービスを提供する企業または業界は,相対的に利益率が高い。自社の価値連鎖の川上,川下の支配力を高めるため,収益の一部を再投資に他よりも多く回すことで,規模の経済性が高まり,供給連鎖の付加価値の取り分をさらに高める。

 

♯15 取引規模利益モデル


取引1単位当たりの規模にかかわらず,ある一定の固定費が発生する場合,取引の規模が大きくなればなるほど収益性は高まる。これを規模の経済性という。取引1単位当たりの規模が大きい大口の顧客との信頼にもとづく密接な関係を築き,維持することにより高い収益性の持続力を高めることができる。広告会社や投資銀行は,取引規模利益モデルを活用して持続的な高収益を得ている。

♯14 ローカル・リーダーシップ利益モデル


一定の地域に集中して店を出して,その地域の同業他社を駆逐する。特定地域に集中することで配送コストやマネジメントコストも軽減され,また販促や宣伝費用も抑えることができる。集中出店により他社の新規出店の余地をなくすことで,地域独占を生み出し,高収益を生み出すことができる。

 

 

 

♯13 専門品利益モデル


ユニークでニッチな機能を持つ専門品の模倣を特許などで守ることができる。期限(10年)を過ぎれば,模倣され容易に製造し販売される汎用品となり価格も下がり,利益率が低下する。常にニッチな市場を開拓し専門品を出し続けることで,高い収益性を維持できる。製造設備を内製化するとか,研究者,技術者などの知識労働者の社内定着率を高めることにより,習熟の他社への伝播を食い止めることも大事である。

♯12 ブランド利益モデル


まったく同じ機能を持つ製品ならば,同じ価格になるはずである。しかし,まったく同じ製品機能であっても,ブランドによって消費者の受け入れる価格は変わる。人間は,購買決定において,非合理的な判断を行う。ブランド価値を高めることで価格プレミアムを得ることができる。

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