マイクロソフトのOSのように,何らかのデファクト・スタンダードを獲得できれば,それを基点として,バージョンアップすることによって買い替えを誘導し,計画的,安定的,長期的に収益の流れを生み出すことができる。
コピー機,髭剃りのように,いったん消費者にハードウェアを販売すれば,トナーや替え刃などの消耗品を買い続けることになる。市場に設置(インストール)した製品ストックの量が多ければ多いほど消耗品の販売量も増加する。そのため,ハードウェアの製品ストックを増加させるために,利益率(価格)を抑える市場へ投入し,利益率の高い消耗品で稼げる体制を築く。
自社のサービス提供コストだけでなく,顧客のビジネスプロセスやコストを隅々まで調べ,個々の詳細な数値を掴む。特定の業界や分野に特化し,その分野について深く入り込み,知識をつけることで,オペレーションコストの削減や,競合他社に対して優位な値付けなどが可能となる。
創業(起業)当初は,顧客も技術もおカネも人もほとんどいない。顧客をつくるために,社員一人ひとりが,必死に顧客の問題を解決するために知恵を出し合い,不足する技術を模倣し,小回りを利かせて顧客を喜ばせる。失敗から学びながらも改良・改善を重ねて,利益を追求する。成功し組織も大きくなると,顧客中心,利益中心ではなく自社中心,製品中心になり,顧客との心理的な距離はどんどん開いていく。
ホンダのエンジン技術は,2輪または4輪の乗用車,農機具,航空機へ,ディズニーのキャラクターは,映画,ミュージカル,CD,ぬいぐるみなどへ,多重利用されている。1つの知的または文化的な財産を多様な形で利活用することで,利益を増殖させることができる。
研究開発は,成功する確率が小さい。したがって,研究開発テーマのうち,成功確率の高い分野に絞り込み,リード・プロジェクトとして進めると同時に,それが成功しなかった場合でも,それに投資した研究成果を最大限に活かせる複数のプロジェクト(バックアップ・プロジェクト)を,あまり多くのコストをかけずに走らせておく。こうすることで,継続的にヒット確率を高めることができる。
技術革新が急速に進み,かつ,新たな製品の模倣が容易に行われる業界では,製品またはサービスは,早期に陳腐化する。技術で最先端を走る企業は,利益率の最も高い新製品投入時にできるだけ多くの製品を売り,他社が模倣品が参入し市場価格が自社のコストを下回るまえに,次の新製品を投入する。新製品を投入する前に予約販売で需要を獲得しておけば,新製品投入時の収益は大きくなる。
スイッチボードとは,配電盤のこと。売り手と買い手を結びつける機能を提供する(媒介)することによって,個々の売り手または買い手が増大するほど,単独で互いにつながる場合に比べて取引回数は低減する。媒介する売り手および買い手の数が臨界点を超えると,一気に支配力が高まる。磁石のように売り手と買い手を呼び寄せる,魅力的な機能を媒介者は持たねばならない。
コカ・コーラで例えると,製品は1つだが,食料品店,レストラン,自動販売機,というように複数のコンポーネントを持っている。利益の大半はレストランと自販機からもたらされている。顧客は購買機会に応じて異なる購買行動を示す。つまり,非常に幅のある価格感応性を示すので,同じ製品でも購買機会に応じて利益を上げられるところが変わる。
ピラミッドの一番下には,他社の参入を防ぐために,多額の広告と販促を行って利益が見込めないほどの低価格で製品を供給し,圧倒的な市場シェアをとる。この一番下の製品がファイアーウォールとなる。低価格帯にいる顧客の中には,所得が向上すれば,より高い価格帯の製品を求めるものも出てくる。所得が上がれば,顧客数は少なくなるが,価格感応度が低くなる。稼ぎどころは,ピラミッドの上の段に位置づけられる高価格帯製品となる。顧客にピラミッドの階段をいかにスムーズに上らせるかがポイントである。
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