株式会社キザワ・アンド・カンパニー

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揺れる欧州統合の行方


フランスの政治学者ドミニク・モイジ氏は、民主主義と資本主義の柱とする西側世界をけん引してきた役割が、米英から、今やドイツやフランスに移ったと指摘する。大衆迎合主義がEUを侵食しており、イタリアの国民投票で憲法改正が否決され、レンツィ首相が辞任に追い込まれた。EU加盟国内の南北んの経済格差が広まり、人々に不満が膨らむ中EU内の紐帯は緩くなってきている。欧州統合の支持率は2006年の60%から2016年に30%まで低下してる。イタリアの元世界銀行エコノミストのウーゴ・パニック氏は、もし来年のフランス大統領選挙で国民戦線のルペン党首が勝てば、反EU戦力が強まり、欧州統合が危機に瀕すると予測する。欧米諸国(日本を含むG7各国)は、ロシアや中国など大国に抗する勢力均衡としての役割を果たしてきたが、今後、大衆迎合主義の風が一段と吹けば、ますます国際情勢は混とんとせざるを得ないだろう。

新たな保護主義の時代


フランス歴史人口学者エマニュエル・トッド氏は、新たな保護主義の時代に突入したと指摘する。そもそも産業発展は保護主義とともに起きた。米国はリンカーンが関税を30~40%にして始まった。欧州では、ドイツがビスマルクの保護主義で飛躍的に成長した。自由貿易が利益になる段階はあるが、行き過ぎると格差が生まれ、最先進国での工員の給与を抑制し、最終的に需要不足に陥る。行き過ぎた自由貿易は経済を停滞させる。グローバル化は特に英米で途方もない格差を生み、日独仏にもある。この格差は資本の移動の自由と、低賃金の労働力を使うことで生まれた。経済的な生き残りに必死となり、子供を持つ余裕がなくなるため、日本や韓国、ドイツでみられるように出生率は低下する。

日本の先を行く中国の共有型経済


中国でシェアリング(共有)サービスが活発である。海外でも定番となった自動車の相乗りや「民泊」に加え、乗り捨てできる自転車が急速に普及。家庭の味など個人の料理のお裾分けサービスも人気を集める。かつてのような経済成長が見込めない中、出費を抑えて快適に暮らしたいとという消費者の意識の高まりを国内発のベンチャー企業がとらえている。

今年最大の脅威


フランス経済学者のジャックアタリ氏は、日米と中国の紛争が今年最大の脅威になると予想する。今日の世界は1910年ごろの世界と比較できる。当時も、科学技術は進歩し、民主主義は機能し、グローバル化が進行していた。世界が民主的で満ち足りた発展を手にすることも可能であったが、閉鎖的なナショナリズムの台頭が二度の世界大戦を生み出した。トランプ氏はロシアを友、中国を敵とみなしている。南シナ海で人工島を建設する中国の動き、核・ミサイル開発を強行し続ける北朝鮮の動きなどを加算すると、アジアは爆発寸前の状況にある。東シナ海、南シナ海で起こりうるすべてのことが心配である。もし、将来、日米と中国が戦争になれば、世界戦争に拡大する。この他に、軍事的火種は、①ロシア対ウクライナなどの旧ソ連圏、②インド対パキスタン、③中東・アフリカ中央部、そしてイスラム過激派組織「イスラム国」。「世界の警察官」はいない。米国オバマ政権時代にその役回りから降りた。米国は世界から手を引きつつある。2006年に米国から撤退する世界に警鐘を鳴らしたが、現実のものとなりつつある。

我が国の経常収支構造の急速な変化


1980~90年代は貿易黒字が大きかったが、2011年度以降は貿易赤字が4年続いた。2015年度は黒字に転換したが、もとの水準にもどるほど勢いはない。1980年代後半、日米間の貿易摩擦が高まる中、我が国企業が積極的に海外直接投資を増加させた結果、現在にいたるまで、海外からの利子、配当など所得収支が持続的に増大している。加えて、2000年代から特許など知財収支が黒字化、2014年度以降は、さらに旅行収支が黒字化している。

リーダーシップは「スタイル」か「質」か


リーダシップ論の大家であるジョン・P・コッター教授は、リーダーシップについて以下のように述べている。

 

『組織とは,本来,メンバーの才能を育み,指導力の発揮や失敗や成功から学ぶことを奨励すべきである。

リーダーシップは「スタイル」ではなく「質」である。』

 

コッター教授は、リーダーシップの本質を研究する中で、10の教訓を導き出している。

教訓1:重要な組織変革を導くのは,どのような手法であれ,息の長い仕事であり,複雑な8段階のプロセスからなる。

  1. 危機感を醸成する。
  2. 変革プロセスを手動できるだけの強力なチームをつくる。
  3. ふさわしいビジョンを組織内に伝達する。
  4. 構築したビジョンを組織内に伝達する。
  5. 社員がビジョン実現に向けて行動するようにエンパワーメントを実施する。
  6. 信頼を勝ち取り,批判を鎮めるために短期間に十分な成果を上げる。
  7. 活動に弾みをかけ,その余勢を駆って,変革を成し遂げるうえでのより困難な課題に挑む。
  8. 新しい組織行動様式を組織文化の一部として根付かせる。

 

教訓2:変革は,数次にわたる複雑なプロセスを経て完遂される。

・抵抗が強いほど,変革を成し遂げるのは難しい。利益が大きいほど,正しいビジョンを持つ必要性は大きい。組織の底辺の人々への依存度が高いほど,彼ら彼女らの参加を促す必要性は高い。

教訓3:20世紀の歴史とその時代に培われた企業文化の影響を受けた人々は,大きな変革を実行しようとする際に,皆同じような過ちを犯す(これには多くの理由がある)。有能で正しい志を持ったマネージャーですらその例外ではない。

教訓4:リーダーシップとマネジメントは別物である。

・意義あり変革を導く原動力は,リーダーシップであって,マネジメントではない。

・リーダーシップとは,ビジョンと戦略をつくり上げ,戦略の遂行に向けて,それに関わる人々を結集し,ビジョンの実現を目指している人々にエンパワーメントを行うなど,障害を乗り超えてでも実現できることである。

・マネジメントとは,計画立案,予算作成,組織化,人員配置,コントロール,そして問題解決を通して,既存のシステムの運営を続けることである。

・マネジメントは,現在の組織の運営システムをうまく機能させ続けるが,リーダーシップは,組織の運営システムそのものをよくするために,大きな変革を行う。

 

教訓5:変化のスピードが速まっているため、組織を動かすうえでのリーダーシップの重要性が高くなっている。

・マネジメントとリーダーシップの時間割合

1980年代末まで 1990年代以降
製品のライフサイクル(年数) 15年 4年
優秀なトップ・エグゼクティブの場合:

マネジメント対リーダーシップ

6:4 2:8

 

教訓6:組織を動かす人々は,マネジメントをリーダーとしての仕事の両方をこなすようになっている。

・マネージャーとしての仕事:計画と予算を策定し,階層を活用して,職務遂行に必要な人脈を構築し,コントロールすることによって,任務をまっとうすることである。

・リーダーとしての仕事:ビジョンと戦略をつくり上げ,複雑ではあるが,同じベクトルを持つ人脈を背景に実行力を築き,社員のやる気を引き出すことで,ビジョンと戦略を遂行する。

・マネージャーとリーダーに共通の仕事:課題を設定し,課題達成を可能にする人的ネットワークを構築し,課題を達成させる。

教訓7:マネジメントは組織のフォーマルな階層を通して機能する。リーダーシップは,インフォーマルな人間関係に依存する。

教訓8:リーダーは,複雑かつインフォーマルな人間関係を操りながら組織を動かす。

教訓9:命令するという仕事はさほど重要ではなくなっている。周囲の人々と仕事のうえで良好な関係を築くことが課題として重みを持つようになってきている。

教訓10:有能なマネージャーとは,①現状の維持と改革を同時に取り組み,②縦横の人間関係を良好に保ち,③命令よりも質問の数が圧倒的に多い。

・変革への準備ができている組織の特長(21世紀のリーダーシップ)は、どんなときでも危機感を高め,慢心を避けようとする。

また、チームワークを重視し,必要があれば変革の推進に向けて組織を統合することができる。

・あらゆる階層が常にビジョンを抱き,必要に応じて,その内容を修正し,多くの人に絶えず伝達する。そこで働く社員は,新しい目標に挑むように,いつでも権限が与えられている。

 

マネジメント リーダーシップ
役割

 

・演繹的に計画を策定する。

・現在のシステムに秩序と一貫性をもたらす。

・複雑性に対処する。

・帰納的に針路を設定する。

・現在のシステムを改革する。

 

・変革を推進する。

流儀

 

 

 

 

 

 

 

・込み入った環境をうまく泳ぎ切るために,計画の立案と予算策定から着手する。

・将来の目標(翌月,翌年)を定め,その達成に向けて詳細な実行ステップを決め,計画を完遂するために経営資源を割り当てる。

・発展的な組織変革の端緒を開くために,まず針路を設定する。

・将来ビジョンを実現するための変革を用意する。

・組織化と人材配置によって計画を抜かりなく達成することに取り組む。 ・1つの目標に向けて組織メンバーの心を統合する。

・互いに手を取り合って,ビジョンを理解し,その実現に尽力できる人々に新しい方向性を伝える。

手段

 

・計画を達成するための手段は,コントロールと問題解決の2つである。

・フォーマル,インフォーマルの両面から,計画と実績を綿密に比べ,両者の間にギャップが生じていないか目を光らせ,問題があれば,それと解決すべくプランを準備する。

 

・フォーマルな組織構造が,マネージャーたちの行動を条件づける。

・いかにうまく組織を設計するかが決め手。

 

・ビジョンを達成するための手段は,動機づけと啓発の2つである。

・価値観や感性といった根源的ではあるが,往々にして眠ったままの欲求に訴えかけることで,大きな障害を乗り越え,皆を正しい方向に導く。

 

 

・健全な企業特有のカルチャーを基盤にしたインフォーマルで緊密な人間関係がリーダーたちの行動を条件づける。

・いかにコミュニケーションを図るかが決め手。

社員へのアプローチ ・物事をできるだけ計画的に忠実に,しかも効率的に進めるために組織編成を行う。

職務体系,指揮命令系統の決定,適材適所の人員配置,必要に応じた研修の実施,社員への計画の説明を行う。

・計画に向けた報奨制度の用意,実施状況を把握するための仕組みづくりを行う。

 

 

 

・リーダーにとっては,信頼を得られるかどうか,伝えようとする内容を信じてもらえるかどうかが,腕のみせどころ。

・信頼されるには,それぞれの実績や誠実さ,信頼製についての評判はどうか,言行が一致しているか,伝えようとするメッセージの内容はどうか。

・組織全体に明確な針路が示されていれば,全員が同じ目標に向かうことができ,外部環境の変化にうまく対応できない無力感にさいなまれず,行動できるようになる。

 

 

企業変革の8段階

第一段階:緊急課題であるという認識の徹底

市場分析を行い,競合状態を把握する。

現在の危機的状況,今後の表面化しうる問題,大きなチャンスを認識し議論する。

 

第二段階:強力な推進チームの結成

変革プログラムを率いる力のあるグループを結成する。

一つのチームとして活動するように促す。

 

第三段階:ビジョンの策定

変革プログラムの方向性を示すビジョンを策定する。

推進チームが手本となり,新しい行動様式を伝授する。

 

第四段階:ビジョンの伝達

あらゆる手段を利用し,新しいビジョンや戦略を伝達する。

推進チームが手本となり,新しい行動様式を立てる。

 

第五段階:社員のビジョン実現へのサポート

変革に立ちはだかる障害物を排除する。

ビジョンの根本を揺るがすような制度や組織を変更する。

リスクを恐れず,伝統にとらわれない考え方や行動を奨励する。

 

第六段階:短期的成果を上げるための計画策定・実行

目に見える業績改善計画を策定する。

改善を実現する。

改善に貢献した社員を表彰し,報奨を支給する。

 

第七段階:改善成果の定着とさらなる変革の実現

勝ち得た信頼を利用し,ビジョンに沿わない制度,組織,政策を改める。

新しいプロジェクト,テーマ,メンバーにより改革プロセスを活性化する。

 

第八段階:新しいアプローチを根付かせる。

新しい行動様式と企業全体の成功の因果関係を明確にする。

新しいリーダーシップの育成と引継ぎの方法を確立する。

 

 

参考文献:

リーダーシップ論―いま何をすべきか (ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス経営論集) 単行本 – 1999/12

ジョン・P. コッター  (著), John P. Kotter (原著), 黒田 由貴子 (翻訳)

著者紹介:

ジョン P・コッター

John P. Kotter

国籍:米国

肩書:ハーバード大学ビジネススクール名誉教授

生年月日:1947

出生地米国: カリフォルニア州

学歴:マサチューセッツ工科大学卒;ハーバード大学卒

経歴:

・ハーバード大学などを経て,ハーバード大学ビジネススクールの松下幸之助記念講座名誉教授。史上最年少の33歳で同校終身教職権を取得した。

・企業におけるリーダーシップ論の権威として国際的に知られ,グローバルリーダーに対する変革的リーダーシップの指導を目的としたコッター・インターナショナルの創設者でもある。

・著書に「パワー・イン・マネジメント」「ザ・ゼネラル・マネジャー」「組織革新の理論」「パワーと影響力―人的ネットワークとリーダーシップの研究」「変革するリーダーシップ」「限りなき魂の成長―人間・松下幸之助の研究」「21世紀の経営リーダーシップ」などがあり,著作は120ケ国語以上に翻訳されている。

 

 

国富が減少


内閣府の国民経済計算確報によると、土地や住宅などの資産(1京200兆円)から負債(6,900兆円)を差し引いた国全体の正味資産(国富)は2015年末時点で3,300兆円ととなった。1997年末3,600兆円弱から300兆円減少している。ここ数年は、海外投資家の株保有が増えると、同時に対外負債残高が膨らんだことが国富の押し下げ要因である。

経営者教育の変化


ドラッカーは,「現代の経営」の中で,「人的資源,すなわち人間こそ,企業に託されたもののうち,最も生産的でありながら,最も変化しやすい資源である。そして最も大きな潜在的な力を持つ資源である」と述べている。

1980年代,自動車や家電,精密機器の分野で,米国大企業は日本との競争で大敗した。生き残りを賭けて大胆なダウンサイジングと同時に,企業文化のレベルで大胆な改革を行った。その取り組みは,大きなパラダイムシフトをともなうものであった。

1980年代末までの経営者教育は,下表に示すとおり,マネージャーを育成するための教育が中心であり,専門性,機能性を高めることを重点にカリキュラムを組んでいたが、1990年代以降、変革に必要なのは,個々人のリーダーシップ能力開発であり,多くのリーダーの存在である、と考え経営者教育の在り方を抜本的に変えることになる。

当時のGEなど米国大企業は、経営トップが指し示す針路,戦略を全社的かつ末端まで浸透させ早期に実現する必要に迫られていた。そのため,これまでごく一部の経営幹部を著名な大学のオープン講座へ送りマネジメント能力を身につけさせていたが,受講対象者を中堅幹部まで広げると同時に,大学と提携して企業内講座を開設し実践的な内容を通じて,リーダーシップ能力を開発する方向へ舵を切った。

現在では,企業内大学をつくり教育にかける時間は80年代末の1.5倍から2倍,受講者数は2倍から5倍へと増やしている。我が国においては,すでにグローバル展開している大企業である総合商社,重電,総合化学メーカなどが2000年代から徐々に,リーダーシップ教育に力を入れるようになり,同様な研修制度を取り入れつつあるが,そうした一部の大企業を除けば,ほとんどの企業が周回遅れであり,経営トップの意識もパラダイムは,ほとんで変わっていないのが現状ではないだろうか。

中華経済圏に位置する中国,韓国,台湾,シンガポールの大企業のほうが我が国よりも先行しているのが残念ながら現状である。特にデジタル革命の先駆者であった米国は,製造機能に限らず,サービス機能まで含む企業活動のあらゆる分野で情報通信技術を活用し労働生産性を改善させてきた。また,情報通信技術を新たなビジネスモデルの開発に生かし,競争力を飛躍的に強化してきた。こうした変革を断行するにあたって,最も重視したのが,リーダーシップ能力の開発である。

経営者教育の変化(米国のケース)

 

 

企業変革とリーダーシップ能力開発


増大するイノベーションの機会をいかに生かすかは,企業戦略上の最重要な課題である。企業変革とは,既存事業の改革または新規事業の開発を実現することである。イノベーションの機会を生かすには,企業変革が必要であり,そのために組織成員のリーダーシップ能力の開発が求められている。

「リーダーシップとは何か」,「マネージャーとリーダーの違いは何か」を問うと,階層レベルや組織文化の違いにより,様々な回答を得ることができる。多様な意見を尊重しなければならないが,言葉の内容と意義がばらばらでは,効果的な企業経営を実行することが難しくなる。下の図表は,マネージャーとリーダーの位置づけを示す。マネージャーの中心的役割は,問題解決と発生する物事への対応である一方,リーダーは機会発見または問題回避,将来事象を予見することである。

 

また2番目の図表は,両者の役割の違いを示している。リーダーは,既存のパラダイムの境界を広げ事業の拡大を図るか,または新規のパラダイムを開拓し,そこに組織成員を導く役割が期待される。これに対してマネージャーは,既存のパラダイムの境界内で階層を利用し組織成員を指揮する役割を期待される。

中堅社員から経営トップまで組織の階層を上がるにつれて,マネージャーとしての仕事からリーダーとしての仕事の割合が上昇する。リーダーシップ論の研究で著名なジョン・P・コッターは,米国大手企業の成功しているCEOまたは事業部門長を調査した結果,リーダーとしての仕事に8割を割き,残り2割をマネージャーとしての仕事に割いていると指摘している。1980年代末以前では,その割合は6対4の割合であったという。1990年以降,多くの米国大手企業がリーダーシップ能力開発に力を注ぎ始めた時期と符合することが興味深い。下の図表は,マネージャーとしての仕事とリーダーとしての仕事の違いを示している。両者に共通の仕事は,課題を設定し,課題達成を可能とする人的ネットワークを構築し,人々に実際の課題を達成させることである。

 

 

イノベーションの機会


ピーター・F・ドラッカーは,「テクノロジストの条件」の中で,イノベーションについて,「イノベーションとは,未知なるものへの跳躍である。その目指すところは,新たなものの見方による新たな力である。その道具は科学的であり,そのプロセスは創造的である。その方法は,既知なるものの体系化ではなく,未知なるものの体系化である」と述べている。この場合の「新たなものの見方」とは,まさに「パラダイムの森」としてパーカーが例示している「世界観」と同義と考えて差し支えない。ドラッカーは,また「イノベーションと起業家精神」の中で,イノベーションには,組織の内部および外部に分け,信頼性,確実性の大きい順に,つぎのような7つの機会があることを述べている。

 

組織の内部あるいは業界の内部の人たちにとってよく見えるものとして,

  • 予期せぬことの生起である。予期せぬ成功,予期せぬ失敗,予期せぬ出来事。
  • ギャップの存在である。現実にあるものと,かくあるべきものとのギャップである。
  • ニーズの存在である。
  • 産業構造の変化である。

 

組織の外部あるいは業界の外部の人たちにとってよく見えるものとして

  • 人口構造の変化である。
  • 認識の変化,すなわち物の見方,感じ方,考え方の変化である。
  • 新しい知識の出現。

 

パラダイムシフトを認識するには,まず既存のパラダイムの中で日常的に起こる問題を見過ごさず,こうした問題をうまく解決する新たなものの見方,アイデアはないかを探索することが,イノベーションを起こすうえで確実であり,信頼性が高い。異質のもの,実績のないものを人間は見ない。パーカーは,「見るから信じる」のではなく,「信じるから見える」ように人間の脳ができていると指摘する。無意識下にある価値観,常識,習慣にとらわれないためには,異質な意見に耳を傾け,自らの世界観,すなわちパラダイムの森が,物事の認識にどのように影響を与えるかを知ることが,多少困難ではあるが重要であると述べている。現代の企業を取り巻く経営環境の変化が加速しているのは,7つのイノベーションの機会のうち,業界や自己の組織の外の人々がよく見える5,6,7番目の機会が,これまでにない速度と規模で広がりつつあるからだと言えよう。

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